極・セルフ鼻フック

撮影の舞台は、イベント会場の握手会ブースという極めて現場感のあるシチュエーションだ。照明の白さと来客のざわめきが、ステージ裏のような緊張と期待をにじませる。観客の視線が一点に集中する中、カメラは加藤ツバキの動作を逃さず捉える。控えめでありながらもどこか挑発的な空気が漂い、セルフ鼻フックという特異な演出が、羞恥と誇示のあわいに観る者を誘う作品だ。

加藤ツバキは、整った美貌の中に確かな妖艶さを備えたSM界の人気女優。その落ち着いた立ち居振る舞いに、観客も一瞬ためらいを覚えるが、次第に彼女の自発的な行為に息を呑む。コスチュームはシンプルで、あくまで「素の女性」が晒されている印象。年齢を重ねた色香と自意識を交錯させながら、自らを追い込む姿にはフェティッシュAVならではの美意識が滲む。

撮りおろしシーンでは、指先が自身の鼻孔に差し込まれる瞬間の微かな表情変化が印象的だ。観る者が息を止めるような「グィッ」という動作のあと、鼻腔の奥まで覗かせる羞恥と快感が交差する。視聴者の多くが「鼻穴全開」「二本のお指をツッコマレタ瞬間が最高」と評しており、その支配／服従の逆転が強い倒錯の快楽を生む。痛みに歪むというよりも、自らを晒す陶酔が画面に支配的で、SMフェチの新たな解釈が提示されている。

レーベル「餌的屋」は、過剰な演出を避けつつも被写体のフェチ性を一点突破で描く作風で知られる。本作でも、加藤ツバキ本人のコントロール下で行われる“セルフ責め”という構図が、制作者の狙いを明確に示している。指挿入やフックの配置、角度ごとの映像構成などが緻密にコントロールされ、観察フェチと支配欲の間を往復する秀逸な仕上がり。マニア層に向けた鼻フックフェチの極北として記録される一作といえる。